介護施設の種類と選び方【初めての方向け】

明るく開放的な介護施設のデイルーム 介護施設紹介

はじめに

「そろそろ親の介護施設を考えないといけないけれど、種類が多すぎて何から調べればいいのか分からない」

介護施設探しを始めたばかりの方から、こうした声をよく耳にします。特別養護老人ホーム、介護付き有料老人ホーム、グループホーム、サ高住…名前を聞いただけでは違いが分かりにくく、途方に暮れてしまう方も少なくありません。

この記事では、代表的な介護施設の種類とその特徴、費用の目安、選び方の基本的な考え方を、できるだけ分かりやすく整理してお伝えします。

介護施設は大きく2つに分けられる

まず全体像を把握しておきましょう。介護施設は、大きく次の2つに分類できます。

公的施設
国や自治体、社会福祉法人などが運営する施設です。費用が比較的抑えられる一方、入所条件(要介護度など)や、待機期間が発生する場合があります。

民間施設
民間企業が運営する施設です。公的施設に比べて費用は高めになる傾向がありますが、サービスの幅や入居のしやすさに違いがあります。

この2つの軸を頭に入れておくと、以下で紹介する各施設の位置づけが理解しやすくなります。

主な施設の種類と特徴

特別養護老人ホーム(特養)

公的施設。原則として要介護3以上の方が対象です(自治体や特例により要介護1〜2でも入所できる場合があります)。費用が比較的抑えられる分、人気が高く、地域によっては入所までに数か月〜数年待つケースもあります。終身利用を前提とした施設で、看取りまで対応する施設も増えています。

介護老人保健施設(老健)

公的施設。病院から自宅へ戻るまでの中間施設という位置づけで、リハビリテーションに力を入れているのが特徴です。制度上は在宅復帰を目指す施設で、原則3か月ごとに入所継続の判定が行われますが、実際には在宅復帰が難しく、結果的に長期間利用されているケースも少なくありません。「一時的な施設」というイメージだけで検討すると、実態とのギャップに戸惑うこともあるため、入所前に施設の運用実態を確認しておくとよいでしょう。

介護付き有料老人ホーム

民間施設。施設のスタッフが直接介護サービスを提供する形態で、24時間体制で介護を受けられる施設が多いのが特徴です。費用は施設によって幅がありますが、初期費用・月額費用ともに公的施設より高めになる傾向があります。

住宅型有料老人ホーム

民間施設。生活支援サービス(食事・掃除・見守りなど)は施設が提供しますが、介護が必要な場合は外部の訪問介護サービスなどを別途契約する形が一般的です。介護度が軽い方や、必要な分だけ介護サービスを利用したい方に向いています。

グループホーム

民間施設(地域密着型サービス)。認知症の診断を受けた方を対象に、少人数(1ユニット5〜9人程度)で共同生活を送る施設です。家庭的な雰囲気の中で、役割を持ちながら生活できることが特徴で、認知症ケアに特化している施設が多くあります。原則として、施設と同じ市区町村に住民票がある方が対象ですが、自治体によっては例外的な取り扱いが認められる場合もあるため、詳細は施設や自治体窓口にご確認ください。

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)

民間施設。「住宅」という位置づけで、安否確認と生活相談サービスが基本的に付いています。介護サービスが必要な場合は、外部の訪問介護などを別途契約する「一般型」が大半を占めますが、一部には介護スタッフが常駐する「介護型」(特定施設入居者生活介護の指定を受けた施設)もあります。比較的自立度の高い方から、要介護度が上がっても住み続けられる施設まで幅があるため、どちらのタイプかは施設ごとに必ず確認が必要です。

費用の目安について

費用は施設の種類、地域、部屋タイプ、要介護度などによって大きく異なるため、一律の金額をお伝えすることは難しいのが実情です。一般的な傾向として、公的施設(特養・老健)は月額費用が抑えられる一方、民間施設(有料老人ホームなど)は初期費用・月額費用ともに高めになる傾向があります。

正確な費用感を知るためには、気になる施設に直接問い合わせるか、地域包括支援センターやケアマネジャーに相談し、複数の施設の資料を取り寄せて比較することをおすすめします。

施設選びの基本ステップ

  1. 本人の状態を整理する: 要介護度、認知症の有無、医療的なケアの必要性などを整理します ご家族はどうしても「何ができないか」「何に介助が必要か」という視点で状態を捉えがちです。もちろんそれも大切な情報ですが、作業療法士の視点では、それに加えて「今、本人が何をできているか」「その『できること』を維持・伸ばせる環境かどうか」も、施設選びの重要な軸になります。できることまで奪ってしまう環境よりも、本人の力を活かせる施設の方が、結果的に穏やかに過ごせるケースが多いというのが実務での実感です。 また、暴言・徘徊・介護拒否といった症状(BPSD)が見られる場合は、対応できる体制が施設によって異なるため、この段階で把握しておくと、後の絞り込みがスムーズになります(詳しくは後述します)。
  2. 希望する条件を洗い出す: 立地(自宅からの距離)、費用の上限、本人の生活スタイルに合う施設のタイプなどを考えます
  3. 候補をいくつか絞り込む: ここまでの施設種類の違いを踏まえて、候補となる施設タイプを絞ります
  4. 資料請求・見学: 実際に足を運び、雰囲気やスタッフの様子を確認します
  5. 相談窓口も活用する: 一人で抱え込まず、地域包括支援センターや施設探しの相談員に相談しながら進めることをおすすめします

こんな場合は、施設選びに注意が必要です

本人に暴言・徘徊・介護拒否といった、いわゆるBPSD(認知症の行動・心理症状)が見られる場合、通常の施設探しよりも慎重な確認が必要になることがあります。施設によって対応できる体制に差があるためです。

該当する可能性がある方は、こちらの記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

関連記事: 暴言・徘徊がある親の介護施設の探し方【OT解説】

面会のルールや頻度についても、事前に確認しておくと安心です。詳しくは以下の記事でまとめています。

関連記事: 施設の面会ルール・頻度について知っておきたいこと【作業療法士が解説】

入居時の私物のルールや、ケアマネジャーとの連携についても、事前に知っておくと安心です。詳しくは以下の記事でまとめています。

関連記事: 施設入居時に知っておきたい私物のルールと、ケアマネとの連携【作業療法士が解説】

まとめ

介護施設と一口に言っても、公的施設か民間施設か、終身利用が前提か一時的な利用かなど、性質はさまざまです。まずは施設ごとの大まかな位置づけを理解した上で、本人の状態や希望する条件を整理し、複数の施設を比較しながら検討していくことが、後悔のない施設選びにつながります。

迷ったときは、一人で抱え込まず、地域包括支援センターやケアマネジャーに率直に相談してみてください。

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本記事は一般的な情報提供を目的としています。施設の入所条件や費用は制度改正や地域によって異なる場合がありますので、最新の情報は各施設・自治体・地域包括支援センターにご確認ください。

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