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はじめに
「実家の片付け、何から手をつければいいのか分からない」
妻の祖母の遺品整理をした時、まさにそう思いました。玄関を開けた瞬間に、何十年分もの生活の匂いがして、目の前には山積みの荷物。どこから手をつければいいのか、正直途方に暮れました。
やってみて初めて分かったのですが、遺品整理は普通の片付けとは勝手が違います。良かれと思って目の前から片付け始めた結果、後から「あれ、大事な書類どこにいった?」と焦ったり、時間が経ってから見えていなかった問題に気づいたり。
この記事では、自分が経験して「こうしておけばよかった」と感じた5つのことを、順を追ってまとめます。同じように途方に暮れている方の、少しでも道しるべになればと思います。
目次
- 失敗1:全体量を把握せずに、目の前から手をつけてしまう
- 失敗2:道具を用意せずに始めて、途中で作業が止まる
- 失敗3:貴重品を確認する前に、どんどん処分してしまう
- 失敗4:目に見えるものだけで終わったつもりになる(デジタル遺品)
- 失敗5:全部自分でやろうとして、抱え込んでしまう
- まとめ:完璧を目指さなくて大丈夫
全部読まなくても大丈夫です。気になる項目だけ、つまみ読みしてもらえたらと思います。
失敗1:全体量を把握せずに、目の前から手をつけてしまう
一番最初にやってしまいがちなのが、目の前にある棚やタンスから、いきなり片付け始めることです。

やってしまったこと
自分もそうでした。最初の日、玄関を入ってすぐの下駄箱から手をつけ始めたのですが、1時間経っても下駄箱一つ終わらず、奥にはまだリビングも寝室も台所も残っている。その状態で「これ、一体いつ終わるんだろう」という感覚に襲われました。家全体にどれくらいの物量があるのか分からないまま作業をすると、ゴールが見えず、精神的にもかなり消耗します。
気づいたこと
やっておけばよかったことは、最初に物を捨てずに、部屋ごとにどれくらいの荷物があるかをざっと見て回ることでした。押し入れや納戸のような物量が多い場所、寝室のような比較的少ない場所を先に把握しておくだけで、「今日はこの部屋だけ」と区切って進められます。
天袋(押し入れの上部)やベッドの下など、見落としがちな場所もあるので、最初の見回りの段階でチェックしておくと安心です。
失敗2:道具を用意せずに始めて、途中で作業が止まる
「よし、始めよう」と勢いよく実家に行ったものの、いざ始めようとしたら道具が足りず、作業が中断してしまったこともありました。
やってしまいがちなこと
黒い不透明なゴミ袋しかなくて、中に何が入っているか分からないまま処分してしまいそうになったり、段ボールを閉じるガムテープがなくて、近所まで買いに走ったり。
気づいたこと
事前に用意しておいてよかったと感じたのは、次の3つです。
- 中身が見える半透明のゴミ袋:黒い袋だと、誤って大切なものを処分してしまうリスクがあります
- 色分けできるマスキングテープと油性ペン:「残す」「処分する」「保留」を色で分けると、判断のスピードが上がります
- フタを開けたままのダンボール:すぐに判断できないものを、とりあえず入れておく「保留箱」があると作業が止まりません
そして、これは自分でも意外な盲点でした。スマートフォンのモバイルバッテリーです。写真を撮ったり、家族に確認のメッセージを送ったり、通話しながら進めたりすると、スマホのバッテリーは想像以上に早く減ります。実家のコンセントが使えない、または大きな家具の裏で使いにくい、ということも珍しくありません。
失敗3:貴重品を確認する前に、どんどん処分してしまう
道具も揃えて、いよいよ本格的に作業を始める段階で、一番ヒヤッとしたのがこの部分です。
気をつけたいこと
処分する前に一つひとつ確認する習慣がないと、大切なものを見逃してしまうことがあります。祖母や祖父の世代の方は、今とは違う場所に現金や通帳をしまっていることがあり、「タンスの引き出しを何気なく抜いたら、奥に貼り付けられた封筒から現金が出てきた」という話も珍しくありません。もし気づかずゴミ袋に入れていたら、と考えるとぞっとします。
気づいたこと(確認しておいてよかった場所)
すべてを疑ってかかる必要はありませんが、「捨てる前に一度だけ確認する」という一手間があるだけで、後悔はかなり減らせると感じました。実際に確認しておいてよかった場所を、いくつか挙げておきます。
- 分厚い本や辞書の間:お札や商品券がそのまま挟まっていることがあります
- タンスの引き出しの奥や裏側:引き出しを完全に引き抜いた奥の空間や、裏側に封筒が貼られていることがあります
- 着なくなったコートやスーツのポケット:クリーニング前の服のポケットに、小銭や鍵が入ったままのことがあります
- お菓子の缶や海苔の缶の中:台所の戸棚にある空き缶の中に、通帳や印鑑が入っていることがあります
- カレンダーや額縁の裏:壁掛けのカレンダーや、写真の額縁の裏に封筒が貼られていることがあります
- 仏壇の引き出しの奥:重要な書類を仏壇周りにしまう方は少なくありません
- カーペットや畳の隙間:昔ながらの「へそくり」の隠し場所として、めくれた端や隙間に封筒が挟まっていることがあります

これらすべてを完璧に探す必要はありませんが、「捨てる前に、一度だけ手を止めて確認する」という意識を持つだけで、見逃しはかなり防げると感じています。
失敗4:目に見えるものだけで終わったつもりになる(デジタル遺品)
通帳や現金などのアナログな貴重品を確保して、少しほっとしたところに、今の時代ならではの落とし穴がありました。それがデジタル遺品です。
気をつけたいこと
物の片付けが一段落して「これで大体終わったかな」と思っていたら、しばらく経ってからクレジットカードの明細に、見覚えのないサブスクリプションの引き落としが続いていることに気づいた、というケースはよく聞きます。金額自体は大きくなくても、「気づかなければずっと引き落とされ続けていた」と思うと、ひやりとするものです。
スマホの中で契約が完結しているサービスは、紙の明細が届かないことも多く、気づかないまま放置されがちです。パスワードが分からず、そのままにしてしまうケースも少なくありません。
気づいたこと
こうした時、頼りになるのがクレジットカードの利用明細や、引き落とし口座の通帳です。どんなサービスに加入していたかの手がかりになります。パスワードが分からなくても、ここから確認できることは意外とあります。
デジタル終活について、もう少し詳しくはデジタル終活についてまとめた記事も参考にしてください。
失敗5:全部自分でやろうとして、抱え込んでしまう
ここまで一通り進めてきて、最後にお伝えしたいのがこれです。「家族の思い出の品だから、全部自分たちの手できれいに片付けなければ」と、一人で抱え込んでしまうことです。
遺品整理は、想像以上に体力を使います。重い家具を動かして腰を痛めたり、ホコリで体調を崩したり。それ以上に堪えたのは、思い出の品が出てくるたびに、手が止まってしまうことでした。週末ごとに実家に通って、気づけば数ヶ月経っていた、ということも珍しくありません。
すべてを自分でやりきる必要はないと、今なら思います。無理をして心と体をすり減らす前に、プロの力を借りるという選択肢も、十分にありだと感じています。
自力で進めた場合と、業者に依頼した場合を比べると、次のような違いがあります。
| 自力で進めた場合 | 業者に依頼した場合 | |
|---|---|---|
| 期間 | 週末ごとに通って数ヶ月かかることも | 短期間(1〜数日)で終わることが多い |
| 体力・気力 | 重い荷物の移動やホコリで消耗しやすい | 基本は立ち会うだけで済むことが多い |
| 見えないコスト | 交通費、レンタカー代、ゴミ処理費用が積み重なる | 買取できるものがあれば、費用の一部が相殺されることもある |
どちらが正解ということはなく、時間や体力、家族の状況によって向き不向きがあります。ただ、「全部自分でやらなければ」と思い込んでいた自分に、当時伝えられるなら「無理しなくていいよ」と言ってあげたいです。
こんな状態に心当たりはありませんか?
- 何度も実家に通う時間や体力が厳しくなってきた
- 思い出の品を見るたびに、作業が進まなくなる
- どこに相談すればいいか分からない
一人で抱え込まなくても大丈夫です。まずは話を聞いてもらうだけでも、気持ちが軽くなることがあります。業者を選ぶ際は、1社だけで決めず、複数社に見積もりを取って比べてみてください。
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まとめ:完璧を目指さなくて大丈夫
ここまで、自分が経験して「こうしておけばよかった」と感じた5つのことをまとめました。
- 最初に部屋ごとの全体量を把握しておく
- 道具(半透明ゴミ袋、マスキングテープ、モバイルバッテリーなど)を先に揃えておく
- 処分する前に、貴重品が隠れていそうな場所を一度確認する
- デジタル遺品(サブスクやネット銀行)にも目を向けておく
- 全部を一人で抱え込まず、必要ならプロの手も借りる
完璧に、一人で、すべてを終わらせる必要はありません。無理をなさらず、自分のペースで進めてもらえたらと思います。
本記事は実体験に基づく個人的な記録であり、すべてのケースに当てはまるものではありません。判断に迷う場合は、専門家や業者に相談することをおすすめします。


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